パルプの種類で紙の強度は変わる？LBKPとNBKPの違い、価格差

私達が普段使っている紙は、ほとんどが「パルプ」という植物繊維を原料に作られたものです。

パルプは木材や藁（わら）、古紙といった様々な原料から抽出されるのですが、何をもとに生成したパルプが使われるかによって出来上がった紙製品の品質に差がでます。

この記事では、代表的な二種類のパルプである「LBKP」と「NBKP」の違いと、それぞれの用途について解説させていただきます。

LBKPとNBKPとは？どう違う？

「LBKP」と「NBKP」。紙業界ではよく聞く言葉ですが、普段の日常生活で出てくることはまずないと思われる専門用語です。

とはいえ、意味するところは簡潔です。この２つの言葉は、それぞれ広葉樹から抽出されたパルプと針葉樹から抽出されたパルプをあらわしています。

LBKP

「LBKP」は広葉樹をもとに抽出されたパルプのことです。白く漂白されたパルプのことを「bleached kraft pulp」の頭文字をとって「BKP」と呼ぶのですが、「LBKP」はBKPの頭にドイツ語で「広葉樹」を表す「laubholz/ラオプホルツ」の頭文字Lをくっつけたものになります。
日本語で「広葉樹晒パルプ」と表記することもありますが、業界では多くの場合「LBKP」または「L材」などという言葉で呼ばれます。

NBKP

一方「NBKP」は、針葉樹から抽出されたパルプのことを指します。BKPの頭にドイツ語で「針葉樹」を意味する「nadelholz/ナーデルホルツ」の頭文字Nをくっつけたものです。
こちらもまた「針葉樹晒パルプ」と表記されるより、「NBKP」または「N材」と表されるのが一般的です。

LBKPとNBKPの強度の違いと、それぞれの用途

なぜわざわざ「LBKP」「NBKP」などと分けて表記するのでしょうか？

その理由は、広葉樹由来のパルプと針葉樹由来のパルプでは、強度に大きな差がでるからです。

すでに述べた通り、パルプは植物繊維なのですが、そもそも植物繊維とは植物を形成する細長い極小の管のようなものです。この繊維の塊が、紙の原料となるパルプとして使われているわけです。

一般的に、繊維は長ければ長いほど強度を増します。日本でお馴染みの和紙などは、非常に強度が高い紙素材として世界的に知られていますが、その頑丈さの秘密は和紙の原料として使われる楮（こうぞ）や麻などといった植物を構成する繊維の非常な長さにあります。

そして、この植物繊維は一般的に、広葉樹よりも針葉樹の方が長く育つ傾向にあります。

LBKPの強度と用途

広葉樹由来のLBKPはあまり強度を必要としない印刷用紙（上質紙、コート紙など）やティッシュペーパー、キッチンペーパーなどの生活用品の作成等に使われます。

NBKPの強度と用途

針葉樹由来NBKPは薄くても丈夫で破れにくく、強度を必要とする牛乳パックや酒パック、各種梱包用紙材などの作成に使われやすいです。

理想とする強度の目安とコストの関係から、LBKPとNBKPを混ぜて紙を作ることもあります。

LBKPとNBKP、気になる価格の違いは？

最後に、LBKPとNBKPのコストの差についてご紹介させていただきます。

一般的に、弱い素材よりも頑丈な素材の方が割高になるイメージがありますが、この２つもその例に漏れません。LBKPよりもNBKPの方がコストは高くなりがちです。

なぜ差がでるかというと、原料となる広葉樹と針葉樹の性質の違いが反映されるからです。

LBKPの原料となるユーカリなどの広葉樹は成長が早く、だいたい７～８年ほどでパルプの原料として使えるようになります。一方、NBKPの原料となる針葉樹は成長に時間がかかります。

一概には言えませんが、木材やパルプとしてよく使われる種類の広葉樹に比べて、成長までに２倍以上の時間がかかると言われています。

この速度の差が、LBKPとNBKPのコストの違いとなって現れているというわけです。

紙素材を購入する際は、コストパフォーマンスを重視するならばLBKP、丈夫さが必要ならばNBKPと使い分けることで無駄なコストの削減につながります。強度とコストの関係によっては、LBKPとNBKPの合成された紙材を選ぶのもオススメです。

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